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【書評】『キャサリン・カーの終わりなき旅』トマス・H・クック著、駒月雅子訳+(1/2ページ) - MSN産経ニュース


希望手探りする人間の営み

 過去は永遠に終わることがない。過去から始まり、池に投げられた石が次々に波紋を呼ぶように今へと繋(つな)がる。だのに人は、見えなくなったもののことをすぐに忘れる。取り返しがつかない過去など見たくないのだ。一方で人は、まるで幽霊に触ろうとするかのように暗い謎を追う。消えたものについて答えを求めてしまう。深い後悔の念を抱きしめながら。

 本書は“情念のミステリー作家”と称されるクックの最新作である。最大の謎は人間心理とばかりに、謎をめぐる記憶の糸を丹念に紡ぎ、人間の感情の襞(ひだ)を、薄皮を剥ぐようにすくいとる。

 さて物語の語り手は、失踪事件が起きた場所を訪ね歩く旅行作家だったジョージ。7年前に8歳の息子が誘拐されて殺されてから、地方の新聞社に転職した彼は、20年前に失踪した詩人キャサリン・カーを知る。唯一残された彼女の小説の題名は『ささやかで不気味な物語』だった。キャサリン・カーはどこに、なぜ消えたのか。ジョージは、なみ外れた知性を持つ、早老症の少女アリスとふたりで謎を追うが、やがて彼自身の人生と奇妙に繋がっているように感じられて…。


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